リビングは時代とともに過ごし方や、間取りが大きく変化してきています。
以前は「台所」「居間」として間仕切られていましたが、今はLDKタイプが主流に。
子供の学習・遊び・家事・食事など空間としての用途が広がり、より家族が一緒の時間とそれぞれの時間を楽しみながら過ごせる場所になっています。
この記事では、長い時間を過ごすリビングの壁や天井に使われる「クロス」の選び方について考えてみましょう。
リビング造りの中でも部屋を占める割合が多いクロスは、雰囲気や印象に大きく関わります。

そこでリビングクロスを選ぶ際に、押さえておけばグッと楽になる、そんなポイントをお伝えしていきます。
Contents
失敗しない!リビングの壁紙(クロス)選びは「白」を基準に。
はじめに触れたように、近年のリビングルームは大人も子供もそれぞれの目的を持って過ごす場所になってきています。
目的が多い部屋だからこそ家族みんながいつでも気持ちよく過ごすにはどんなクロスを選べばいいのでしょうか?
まずは、リビングにふさわしいクロスの「色」について考えてみましょう。
ここでおすすめしたいのは、あえて個性をおさえた
「白」系統のクロスです。
それにはリビングだからこその理由があります。
白系統の壁紙は、明るく広がりを感じさせる。
リビングの役割として主に重視されるポイントは3つあります。
1. 快適さ
2. 広さ
3. 明るさ
リビングの役割を叶えるクロスの色として、「白」は光を反射して明るく、広く見せる色であり、光を吸収する「黒」は狭く、暗く見せる色であるということです。

つまり「白」は明るく・広く見せたいリビングのクロスに適していると言えます。
ワンポイント! |
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純白の壁紙ではなく「白+α」がベスト。
とはいえ「純白」の白すぎる部屋というのもまた緊張感を生み落ち着かなかったり、汚れが目立ちやすかったりといったデメリットがあります。

ポイントは「純白」を選ぶのではなく「白」系統を選ぶということ。
考え方としては、下の表のように「白」に「彩度の高い色」を足して「明度が高く淡い色」にするということです。
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白 + 赤 = ピンク |
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白 + 黒 = グレー |
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白 + 茶 = ベージュ |
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白 + 黄 = オフホワイト |
イメージ画像 出典:サンゲツ
色そのものを探していくのではなく「白」を基準にするという考え方をするだけで、リビングクロスのベースカラーはグッと選びやすくなります。
模様や色味は「アクセントクロス」で加えよう。


そこでおすすめしたいのが「アクセントクロス」です。「アクセントクロス」とは、部屋全面を同じ壁紙で統一するのではなく、一部に柄や異なる色をプラスして強調させる(アクセントをつける)方法です。
同じ間取りでも一部に色や柄を加えるだけで部屋の雰囲気はガラリと変わり、トレンド感やオリジナリティといった付加価値が生まれ、その需要は高まっています。
アクセントクロスを選ぶときのポイントは?
①必ずベースのクロスよりも濃い色を。
薄い色を選んでしまうと、ベースと同化してしまいアクセントの役割が果たせなくなってしまいます。
空間にメリハリを出すためにも、ベースの色よりもワントーン以上濃い色や模様を選びましょう。
②貼る位置に迷ったら?
「アクセントクロス」を貼る位置に決まりはありませんが、基本的に入り口から部屋に入って1番目を引く壁を選ぶのが良いとされています。
例えば、ソファやテレビの背面は部屋全体がまとまりますし、キッチンカウンターの下面にタイル調や木目のクロスを貼ると雰囲気のあるおしゃれなカウンターになって存在感もより高まります。
③サンプルは大きめで、必ず目で見て触れて選ぼう。
人間の目は小さな面積の色は濃く、大きな面積の色は薄く感じるようになっています。
そのため、仕上がりがサンプルで見ていたときより薄く感じてしまい「あれ?こんな色だったかな?」と、思うことも。
ワンポイント! |
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失敗を防ぐためにも必ず覚えておきましょう。
クロス素材の違いって?リビングに合った素材を選ぼう!
リビングは人が集まり過ごす時間が多いという事から、クロスが「汚れやすい」「傷つきやすい」といった問題が発生しやすい場所でもあります。

洗剤を使って掃除はしていいの?


このような悩みを解決するためにはどのような素材を選べばいいでしょうか。
素材別にクロスの機能を比較していってみましょう。
シェアNO.1「ビニールクロス」
一般的にクロスに多く使われている素材は「ビニール」です。様々な仕上げ材がある中で、その占有率は90%と言われます。なぜビニールクロスが壁や天井の仕上げ材としてそんなにも求められているのでしょうか。
【メリット】
防汚、消臭、防水、耐久、防カビ、抗菌、マイナスイオン、蓄光など、様々な機能を選ぶことができます。また、表面はプリントやエンボス加工(凹凸を作り、質感を出す加工)できるので、デザインが豊富なことも大きなメリットです。
多機能でありながら価格も安価なところや、水拭き掃除が出来るところが強みでもあります。
【デメリット】
クロスの主原料である塩化ビニールと接着剤に使用されるホルムアルデヒド等の原因物質が「シックハウス症候群」を引き起こすことがあります。
しかし、近年では技術の進歩からホルムアルデヒドの放散量を抑えたクロスも開発されています。F★★★★(フォースター)の表示はみなさんも見慣れているのではないでしょうか?
これは、ホルムアルデヒドの放散量を少なくした最上級規格の印です。もう一つのデメリットとして、焼却処理の際に発生するダイオキシンが環境へ影響を与えることも問題視されています。
自然由来のクロス
ビニールクロスの良さはわかるけど、やっぱり自然素材には敵わないと考える方もいるでしょう。「布・紙・木・土」を使ったクロスはその素材特有の風合いがいちばんの魅力です。
日本の住宅は1年を通しても雨の多い気候条件から「通気性」「調質性」を重視した構造になっており、これらの素材もその役割を多く果たす機能があります。
一部化学素材が含まれている物もありますが、基本的に自然素材で作られてるので健康にも環境にも優しいというのも一つの特徴です。
しかし自然由来の素材は、「素材そのものの性質による施工の難しさ」が費用に関わってきますので依頼する担当業者には必ず確認しておきましょう。
素材ごとのメリットとデメリットを表にまとめていますので参考にしてみてください。
素材 / 価格評価 / 価格(1㎡あたり) | 原材料 / メリット / デメリット / 掃除の基本方法 |
布・織物
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【原材料】 木綿・麻(自然素材) パルプ・ポリエステル・レーヨン(化学素材)など 【メリット】 ・調湿性が高い。 ・重厚感・高級感がある。 【デメリット】 ・防火性が低い。 ・静電気が発生しやすい。 【掃除の基本方法】 ・はたき掛け。 ・汚れには固く絞った雑巾でたたく。 |
紙
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【原材料】 ミツマタ・コウゾ(和紙) パルプ(洋紙)など 【メリット】 ・通気性が良い ・和紙、洋紙ごとの風合いがある。 【デメリット】 ・防火性が低い。 ・施工技術が必要。 【掃除の基本方法】 ・はたき掛け ・表面加工されていれば水拭き可。 |
木質系
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【原材料】 銘木・コルク 【メリット】 ・自然の木のぬくもりや風合いを感じられる。(銘木) ・弾力性がある(コルク) 【デメリット】 ・価格が高い。(アクセントクロスとして使われることが多い) 【掃除の基本方法】 ・木材ごとに方法が変わってくるので施工前に要確認。 |
珪藻土(クロス)
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【原材料】 堆積岩(藻類の化石) 【メリット】 ・自然由来の素材の中でも安価。 ・調湿性、消臭効果がある。 【デメリット】 ・施工技術が必要。 ・細かな凹凸があり傷・汚れが付きやすい。 【掃除の基本方法】 ・はたき掛け。 |
イメージ画像 出典:サンゲツ
まとめ
ここまでリビングクロスのベースを「白系統」で選ぶ事と、クロスの種類を中心にご紹介してきました。
家族が集まるリビングは家の中心なので、部屋の基準にもなるクロス選びを押さえておけば、その後の家具やカーテン選びもスムーズに決めることができますよ。
なるべく悩みや迷いは少なく、楽しくなるように、ぜひご紹介したポイントをリビングのクロス選びに役立てて下さい。